娘の成長と父との関係について

「わかっとる!」と娘は言うけれど
夕飯の支度をしながら、子どもたちの声が飛び交うリビングを横目にふと笑ってしまう。
今日はどんな一日だった? 何を食べた? 疲れたよね〜!っと
そんな会話の中に、最近ちょっと気になる風景がある。
長女、9歳。小学4年生。
口が達者で、でもまだまだ甘えん坊。家の中でもとびきり元気で、弟たちの面倒も見てくれるしっかり者。
だけど――お父さんと話すときだけ、なんだか態度が違う。
「うーん」「へ〜」「なるほど〜」
毎回ほぼ、これのどれか。テンプレか!っていうくらい、機械的なリアクション。目もあんまり合ってない。声もワントーン低い気がする。
「俺の時だけおかしくない?」
夫が苦笑いでこぼした一言が、なんとなく心に引っかかった。
確かに、そうかもしれない。
夫は話が長い。話をふくらませる名人で、たとえば「今日学校どうだった?」という一言から、昔の自分の小学生時代、さらには教育の在り方まで話が飛んでいく。
娘としては、「いや、そこまで求めてないし」って感じなのかもしれない。
でも、
「普通にご飯が食べられて、毎日学校に行けるのはお父さんが頑張ってくれてるからだよ」って私が言うと、娘は一言、
「わかっとる!」
それ以上は言わせない、という圧を感じる。
あぁ、私も昔、そんな感じだったなって思う。
父の言葉が重たく感じたり、少しうざったく思ったり。でもそれはきっと、心が育っていく途中で、家族との距離を測っていたからなんだと思う。
娘の成長、そしてこれから
「成長してる証拠だよ」
私はそう夫に伝える。
「ひどすぎるようなら私が言うし。今は、こっちも構えすぎずに見守ろう」って。
でも、夫の顔にはほんの少し哀しさがにじむ。
わかる。伝わらないって、寂しい。
大事に思ってる分だけ、反応が薄いとこたえるんだよね。
けれど、そんなすれ違いも、いつかきっと「懐かしいね」と笑って話せる日が来るはず。
娘の背がぐんと伸びて、心もまた見えないところで大きくなっていってる。
その過程に、ちょっとだけギクシャクする時間があるのも、当たり前のことかもしれない。
なんなら高校生になったら無視し始めるかもしれない。
今日も、家族6人でにぎやかに過ごす夕方。
小さな違和感も、大切な家族の風景のひとつ。
それをちゃんと感じられる自分でいたいな、と思う。