筋ジストロフィーの障害のある長男の育児について その2 姉弟家族の絆

前回に引き続き、筋ジストロフィーの障害を持つ長男の育児について紹介します。今回は、長男が隣町に転院し、物理的な距離ができてしまってからのお話です。
隣町に転院後、面会は月に一度程度に……
自宅療養が難しい一方で、1歳を迎えた長男はNICUに留まることもできず、県内で唯一筋ジストロフィーを専門に診てくれる医療センターへ転院しました。
しかし、転院先は隣町。私たち夫婦は仕事や家事、長女の育児で忙しく、面会は月に一度程度に……。
そんな中でも、長男は言葉が増えたり、ハイハイできるようになったり、反応も豊かになってきていて、本当は毎日そばで見てあげたかったと、胸が締めつけられる思いでした。
コロナの到来による面会禁止令
面会を増やしたいと思っていた矢先に、コロナウイルスの影響が。感染予防のため、長男との面会は禁止となってしまいました。
頭では理解していたけれど、「家族の絆がウイルスに引き裂かれたような気持ち」になり、やり場のない悔しさに涙しました。
やがて面会は禁止から「窓越し面会」へ。触れることのできない、たった一枚のガラスが、とても大きな距離に感じられました。
面会制限がある中での次男と次女の出産
その後、次男と次女の妊娠・出産を迎えました。私は新生児の世話があるため面会に行けず、夫と長女の2人が長男に会いに行く日々が続きました。
夫や長女から聞く長男の様子や好きなことを聞いては、「私も会いたいな」と思いながら、次男と次女を連れて長男に会いに行くことを目標にして、毎日奮闘しました。
長男と次男と次女が初対面、感動で涙
次男も次女もすくすくと成長し、ようやく長男との初面会の日。
窓越し面会ではあったものの、次男と次女は長男に興味津々。私が「お兄ちゃんだよ」と伝えると、次男が笑顔で「お兄ちゃん!」と呼びかけてくれました。
その瞬間、家族が1つになれたような気がして、思わず涙があふれました。本当に心が温かくなるひとときでした。
面会制限が解除されてから
その後、ようやく面会制限が解除され、長男も小学校入学の年齢に。あっという間のようで、でもたしかに一歩ずつ成長してきました。
医師には「長く生きるのは難しいかも」と告げられていた日々……でも、今では自分の歩行器を使って、小学校で授業を受けている姿があります。
運動会では歩行器で一直線にゴールまで進む長男の姿に、また涙。
夢物語のようかもしれません。でも、家族の絆と、共通の目標があれば、どんな困難も乗り越えられる──長男が私たちにそう教えてくれています。
これからも、長男の生き様を家族みんなで支えながら、前を向いて歩いていきたいと思います。